アメリカでの転職、10分でわかる応募から採用までの一連の流れ

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こんにちは、masayaです。

日本での就職活動と言えば、エントリーシートや履歴書を書いて応募するのが広く知れ渡っていると思います。しかしもし海外、例えばアメリカで転職しようと思ったら何から始めればいいのか、そしてどういった採用手順が待っているのかご存知ですか??

いざ海外で転職をしようと考えた際に、転職の流れを知っているだけでも、少しだけストレスが減って転職へのハードルがぐっと下がるんじゃないかと感じたので、今回は海外、『アメリカでの転職活動の応募から採用までの流れ』をまとめていきます。

海外(アメリカ)での転職活動の流れ

  1. 応募
  2. 電話インタビュー
  3. オンサイトインタビュー
  4. オファーから採用

基本的な海外、アメリカでの転職活動の全体の流れは、上のように4つのステップからなっているので、1−4のステップについて項目ごとに少しずつまとめていきます。

 

Application

1. 応募

採用自体は通年で行われているので、転職しようと思った日が吉日です。いつでも自分にマッチした仕事を探して応募できます。

応募の際に必要になる書類は2つです。まず1つ目が日本の履歴書に相当するResume (CV: Curriculum Vitae)で、2つ目がResumeに一緒に添えるCover Letterです。Cover Letterの上手い日本語訳が見つかりませんでしたが、履歴書に添える1ページの応募者の魅力や適正を簡潔に伝える手紙のようなものです。

ResumeとCover Letterは一般的に会社のCareerサイトの専用ページから提出するので、パソコンさえあればいつでも世界中どこからでも応募ができます。例えば、Pfizer Careerのサイトの下のオレンジ色の“Apply”から始められます。

Pfizer career site apply

1-1.Resume (CV)

日本の履歴書に相当するResume(CV)は応募する仕事の職種や分野毎に異なってくると思いますが、記載するポイントは以下の3つが共通しています。

  • 仕事をするのに必要な要件にマッチしていること:例)化学、生物学、工学などの必要なスキルを有しているなど
  • 適正な資格と教育レベルを有していること: 例)修士卒(MS)や博士卒(PhD)、PhD+ 2-5年の職務歴など
  • 適正なスキルを有していることの証明: 例)論文リスト、特許リスト、学会発表、受賞歴など

以上の事を踏まえて、Resume(CV)に記載する内容は以下の7点を記載するのが良いです。

  1. 応募者の名前と連絡先
  2. 仕事に必要なプロフェショナルスキル(最重要、スキルの記載順番も大事)
  3. 論文2−5報のリスト、もしくは全論文リスト
  4. 学会発表のリスト
  5. 受賞歴のリスト
  6. 特許のリスト
  7. 問い合わせの連絡先(現職のボスや前職のボス: 応募者の事を良く知っている人物)

最も大切なことは、応募する仕事に合わせてResumeを変更していくことです。例えば、Aのスキルを重視する仕事にはAのスキルを前面に推していき、優先度の低いBのスキルは下の順序に書いたり、場合によっては書かなくて大丈夫です。そのほうが、要点が簡潔に採用担当者(Hiring Manager)に伝わります。

1-2. Cover Letter

Cover Letterは応募者が如何にその仕事に適しているか、その仕事に就きたい情熱があるかをアピールする1ページの書類で、採用担当者(Hiring Manager)がまず目を通す書類です。人気のある仕事の採用担当者ならば、100近くの応募書類に目を通さなければいけないので、ここで他者よりも目立つCover Letterを作ることはとても大切です。

Cover Letterに記載する内容は以下の4つのパラグラフです。

  1. その仕事に応募する理由と情熱(採用担当者の目を引くために最も重要)
  2. 自己紹介、なぜ自分がPerfect Matchの応募者であるのか
  3. 応募者を採用することでどういうメリットがあるのか
  4. Cover Letterを最後まで読んでくれたことへのお礼

最も大切なことは、Resume(CV)でも述べましたが、応募する仕事に合わせてCover Letterも変更していくことです。Aの仕事に就きたい理由と、Bの仕事に就きた理由は似ているかもしれませんが少し違うはずですから、仕事の要件(Job Description)に合わせて変更していくことが重要です。

実際にどのようにResumeとCover Letterを作成ていったかの過程は、”アメリカ製薬研究職への転職活動 No. 2Cover LetterResumeの作成“を参考にしてください。

 

Job search

1-3. Job Search

“BioSpace”,  “Glassdoor”“Naturejobs”“LinkedIn”など様々な求人サイトがあり、一度に興味のある仕事を探す上ではとても便利です。ただし、興味のある求人が掲載された日付が正確ではない場合があるので、各社の公式キャリアサイトから検索するのが最も間違いのない方法です。

なぜ掲載された日付が大事なのかについて、詳しいJob searchの見方やポイントはアメリカ製薬研究職への転職活動 No. 3: Job search ~ Application”でまとめていますが、掲載された日付が古い求人情報は既に第1サイクルの応募者のスクリーニングが終わっている可能性が高いからです。

検索には自分のスキルを代表するようなキーワードや仕事に求めるキーワードを使用して検索すると、興味のある仕事の募集が見つかるはずです。例えば、生物学などの分野名、癌などの疾患名、質量分析などのスキル名が良いキーワード例だと思います。私の場合は『タンパク質』をキーワードに探していました。

この求人検索(Job Search)の段階で最も大切なことは、自分のスキルとマッチしていると感じた仕事にはどんどん応募することです。

最終的にマッチしているかどうかの判断をするのは会社側の採用担当者(Hiring Manager)なので、マッチングしているか悩んだらまず応募した方がいいと思います。応募しなければ可能性は0のままですが、応募することで可能性は低くともチャンスは確実に広がるはずです。

1-4. LinkedInへの登録

いざ海外で転職をしようと考えたらLinkedInへの登録をお薦めします。“LinkedIn”とはビジネス用のSNS (ソーシャルネットワークサービス)で、知り合い(ネットワーク)の管理が簡単に出来たり、リクルーターから連絡を受け取れたり転職や面接前の準備に役に立つツールです。

Linkedinを使うことのメリットとプロフィールの作り方に関しては、“LinkedInを転職以外にも活用する3つのメリット“LinkedInのプロフィールをプロフェッショナルに作り変える12のポイント”でまとめてあるので参考にして下さい。

アメリカで働いている人はほぼLinkedInを使って、ネットワーキング(日本でいうコネ作り)をしています。アメリカで就職・転職しようと思ったらコネ(ネットワーク)はかなり重要な要素として頭の中に入れておいて欲しいです。ネットワークが強ければ、Referral(推薦)と言って誰かがインタビューのプロセスを強力にサポートしてくれます。

全く知らない候補者を呼ぶよりも、知っている候補者を呼ぶ方が安心感があるのは何となくイメージを持ちやすいのではないでしょうか?

ネットワークの作り方に関して興味がある方は、“コネ就職するために活用すべきネットワークの知識と作り方”を合わせて読んでください。

 

1-5. ビザの有効期限の確認

仮に既に海外に在住されているなら、ビザの有効期限には注意して下さい。残り期限が3ヶ月で面接が決まっても、アメリカなら就労ビザであるH1bビザやO1ビザに切り替えたりする手続きの前に一時的に国外へ出て手続きが大変になったりします。

また交流訪問者用のJ1ビザに2年ルール(帰国後2年間日本に滞在しないといけない)が付いているかどうかについては特に注意しないといけません。2年ルールの免除手続きをしないと、日本に2年間の滞在義務が発生のでせっかくの海外での仕事のオファーを断らなければならなくなるかもしれません。

J1ビザ、H1bビザの状態で転職活動をしても、いざジョブオファーレターを出す段階になって、『やっぱりビザのサポートができません』なんて話をちらほらと聞きます。企業側も最もポピュラーであるH1bビザを出したいのは山々です。しかし企業全体におけるH1bビザの1年間の発行上限が決まっていて(アカデミアはこの発行上限がない)、実際にH1bを取れるかどうかはある程度(60%くらい)運の要素に寄ります。

H1bビザの申請プロセス

  1. 4月までに申請書類の準備
  2. 4月上旬に申請開始(即申請受付終了)
  3. 9月〜10月にH1bビザの可否の通知

出来ることなら、アメリカでの転職活動を始めるまでに以下の2つの準備をしておくことが望ましいです。

  • グリーンカードの取得(最低でも申請開始)
  • O1ビザ取得要件を満たす

詳しくは“アメリカで研究留学・転職するために知っておきたいビザの知識”を合わせて読んでもらいたいですが、ビザステイタスは我々アメリカにとっての外国人が働くためには最も重要な要素の一つなので、しっかりと先を見据えて準備しておくことをお勧めします。

 

Phone interview

2. 電話インタビュー

いざ興味のある仕事へ応募したら、次のステップは会社説明会でもなければ会社が指定する会場での面接でもなく、電話でのインタビューになります。携帯電話さえあれば、研究室でも家でもどこでも面接が可能です。

2-1. 質問対策

通常は30−60分程度で電話インタビューの質問者が、日本の人事担当者にあたるHuman Reserouce(HR)か研究者によって質問の種類が変わってくるので、その辺りを対策していくことになります。

詳しくは“アメリカ製薬研究職への転職活動 No. 4:電話インタビュー序盤戦”“アメリカ製薬研究職への転職活動 番外 1:電話インタビューの質問対策”を参考にしてください。

2-2. 当日の準備

電話インタビューは慣れていないととても緊張するものですが、緊張しようが落ち着こうが電話はかかって来るので、以下の3つの準備はきちんとしておきましょう。

  • 個室などの静かな環境:家族に外出してもらい、自宅で電話を受けるのも良い方法です
  • 携帯のイヤーフォン: 受話器を直接耳に当てるよりも良く英語が拾えます
  • インタビューの相手の顔写真: 相手の顔を見て電話することで多少リラックス出来ます(LinkedInで見つけられることがあります)

2-3. 電話後のありがとう

電話インタビュー後は内容が良くても悪くても、ちゃんとお礼のメールをその日のうちに送ります。

**簡単な例文**

Dear Interviewer,

Thank you so much for your time today. I was really excited to talk with you.

I am looking forward to hearing back from you.

Best,

My name

 

Interview

3. オンサイトインタビュー

電話インタビューを無事に通過したら最後のステップは、研究所やオフィスでの現地でオンサイトインタビューです。この段階で初めて会社のある場所へ行くわけですが、多くの場合交通費と宿泊費は会社が負担するので、応募者の負担は0円です。

英語が第2言語の我々にとっては、正直なところ電話インタビューよりもオンサイトインタビューの方が以下の2つの理由から自信を持って臨めると思っています。

  • ボディーランゲージが使える
  • アイコンタクトができる

ディナーインタビューで採用担当者(Hiring manager)から言われて印象に残っている言葉が、『応募者の方こそ一緒に仕事したいかどうか会社側をインタビューするんだよ』でした。なので、オンサイトインタビューは応募者も一緒に働きたいかどうかを慎重に見極める良い機会だという事を覚えておいてください。

3-1. 身だしなみの準備

採用側から見ると意外と身だしなみまで気が回っていない人も僅かですが見た事がありました。身だしなみで印象を下げるのはもったいないので、最低限以下の2つは気をつけると良いです。

  • プロフェッショナルに見える服装: ビジネスカジュアルなど
  • スマイルの練習: 投資0で上達する上に好印象を与えるのに効果的です

3-2. 質問対策

基本的には電話インタビューの時の質問をもう一度確認しておけば問題ないです。

ただオンサイトインタビューでは1:1で話す形式の面接が複数スケジュールに組み込まれるので、Linkedinで会う予定の人の事を調べてどんな質問が来るか対策したり、こちらからする質問も考えておくと良いでしょう。

3-3. ディナーインタビュー

現地に移動した最初のイベントは、採用担当者(Hiring manager)や上司候補の方達とランチやディナーを一緒に食べながら会話をする形式のインタビューです。

ここでは応募者が実際に会社の雰囲気やチームにフィットするかどうかがみられたりしています。食事をしながら1-2時間会話をするので長く感じるかもしれませんが、こちらとしても相手の事や仕事のこと、会社の事を知る良いチャンスなので、聞きたい事はどんどん聞きましょう

詳しいディナーインタビューの流れは、“アメリカ製薬研究職への転職活動 No. 8: オンサイトインタビューDay1”を参考にして下さい。

3-4. プレゼンテーション

製薬会社の研究職の場合は研究のプレゼンテーションがあり、このプレゼンの出来が最も合否に関わるので悔いのない発表を目指しましょう。

プレゼンテーションの作り方に関するポイントは、“英語が苦手だからこそ上達させたいプレゼンテーション”を参考にすることをお勧めしますが、以下の3点に気をつけてプレゼンテーションをすると良いと思います。

  • 1メッセージ/ 1スライドでストーリーを作る
  • ゆっくりと丁寧に話す
  • ポインターはグルグル回さない

3-5. 1:1インタビュー

1:1のインタビューの間は出来るだけ相手の目を見て、時には笑顔で話すと好印象を与える事が出来ます。

相手の質問には簡潔に要点を伝えるよう意識するといいです。

1:1インタビューで忘れずにやっておきたい事は以下の3点です。

  • 始めに相手の目を見て握手する
  • 何か聞きたい事はあるか?と聞かれるので必ず何か質問する
  • 最後にもう一度握手して感謝の意を伝える

詳しい1:1インタビューのスケジュールは、“アメリカ製薬研究職への転職活動 No. 9: オンサイトインタビューDay2”を参考にしてください。

3-6. オンサイト後の感謝のメール

無事にオンサイトインタビューが終われば、電話インタビューの時と同じように後日インタビュー中に会った人達に感謝のメールを送ります。

全員のアドレスが分からなければ、最低限採用担当者(Hiring manager)にはメールを送りましょう。

 

Dream job

4. オファーから採用

無事に採用が決まれば電話かメールで連絡が来て、後ほど正式なオファーレター(Job Offer Letter)が届きます。

4-1. オファーレターのチェックと返事

正式なオファーレターが手元に来たら、給料、ボーナス、福利厚生(Benefits)が納得のいくものかどうかを確認します。

この段階でようやく給料の交渉や引っ越しなどのオプション(Relocation package)の交渉が可能になります。もしオファーに納得がいかなければ、オファーに返事をする前にしっかりと採用担当者(Hiring manager)と話し合う事をお勧めします。

ジョブオファーレターの例は“アメリカ製薬研究職への転職活動No10: ジョブオファー受諾”に少し載せているので、興味がある方はご覧ください。

4-2. 就労ビザ取得

オファー受諾の返事をした後は、就労ビザ取得に向けたプロセスがスタートします。この段階で既にグリーンカードを既に持っていれば、このプロセスはスキップします。

通常はアメリカならH1bビザもしくはO1ビザを取得する事になるでしょう。

アメリカで仕事をするためのビザの話は、“アメリカで研究留学・現地就職するために知っておきたいビザの知識”を参考にして下さい。

Visa and passport

4-3. 引っ越し

引っ越しのオプション(Relocation package)によりますが、通常は会社が費用を出すか、引っ越しにかかりそうな額が一括で前もって振り込まれます。

引っ越しに関する出費は心配しなくていい場合が多いでしょう。

4-4. 初出勤へ

アメリカでは通年採用なので、日本のように4月の入社式や新人研修のようなものはありません。その代わりに月に数回程度新入社員を対象とした半日程度のオリエンテーション(New Hire Orientation)が開催されます。ここで、保険や福利厚生を始めとした種々の説明を受けることになります。

後は会社に寄りますが、コンプライアンスなどの規則に関する研修がオンラインで受講したりする事になると思われます。

 

Never Give up

まとめ

  1. 応募の段階ではマッチする仕事にはとにかく数多く出して少しでも電話インタビューへの確率を上げる
  2. 電話インタビューは会話のみに頼ることになるので、質問対策と練習は怠らない
  3. オンサイトインタビューではプレゼンテーション、1:1インタビューで好印象を残す
  4. 正式なオファーを貰っても、オファー内容をしっかり確認する(でも頑張った分しっかり喜ぶ!!)

今後海外で転職の必要に迫られた時に、この応募から採用までの流れを知っておけば少しでもストレスなくスムーズに転職活動が始められると思うので、陰から応援しています。

 

最後までお付き合い、ありがとうございました。

参考になった、面白かったと思って頂けたら是非シェアして下さい 🙂

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