こんにちは、masayaです。
居心地の良い場所を離れて、留学という大きなチャレンジをするのは不安ではないでしょうか?私は不安でした。言語面の不安もさることながら、ちゃんと論文を出せるのか、現地の生活へ適応できるのか、など不安と期待とドキドキでいっぱいでした。
また一度海外へ出ると戻ってこれなくなる可能性があることは何人かの方から指摘されていたので、しっかりと結果を残さなければという少なからずのプレッシャーもありました。今後のキャリアパスに大きな影響を与えるポスドクまたは大学院での研究留学の研究室選びを失敗したくないという気持ちはとてもよくわかります。
なので今日は少しでも迷っている方の役に立てればと思い、後々『後悔しないための研究室の選び方』についてまとめていきます。
研究室の選び方のチェックリスト
- 留学後のプランを考える、アカデミアかインダストリーか?
- PI (ラボのボス)を誰にするか?
- 留学先の予算は十分あるか?
- 過去3-5年間の間にコンスタントに論文が出ているか?
- 自分がやりたい/身につけたい事が行われているか?
- フェローシップの応募には積極的か?
- ラボの卒業生の進路は自分のキャリアプランにマッチしているか?
1. 留学後のプランを考える、アカデミアかインダストリーか?
留学後(3-5年後)には論文を何報出したいのか?それらを基に日本もしくは海外のアカデミアでキャリアを積みたいのか?インダストリー(企業)で活躍したいのか?
具体的なプランを作れるとモチベーションの維持のためにはいいですが、後でいくらでもプランの変更はできるので、まずは漠然とイメージするだけでも大丈夫です。
2. PI (ラボのボス)を誰にするか?
ラボでのトレーニングが終わって、次のステップへ行く時に最も影響がある人物になるので、その分野での知名度や将来性があるかについて調べるといいでしょう。
研究室のホームページなどで経歴や受賞歴を見れると思うので、見つける事が出来れば参考にして下さい。
大きなラボか小さなラボか?
これも絶対の答えがありませんが、それぞれのメリットとデメリットは以下のようになります。
大きな研究室のメリット
- 研究費が潤沢である可能性が高い
- 論文を出すチャンスが高い(筆頭と共著を含めて)
- ラボのOB/OGの数が多い
- ラボのOB/OGがアカデミア・インダストリーで活躍している可能性が高い(国内外の強力なネットワーク)
大きな研究室のデメリット
- PIの指導が行き届かないかもしれない
- ラボ内も含めて競争が高い
- 筆頭著者の論文が出ないかもしれない
小さな研究室のメリット
- PIの指導が濃密である
- プロジェクトの成否を担う
- 筆頭著者の論文が出る可能性が高い
小さな研究室のデメリット
- 良くも悪くもPI次第
- 一つのグラントでラボが運営されているかもしれないので、予算に心配があるかもしれない
- ラボのOB/OGの数が少ない(ネットワークが弱いかもしれない)
個人の好みによりますが、もし迷っているなら、私は大きな研究室を推します。理由としては、
- 研究費から出されるであろう自分の雇用に関する費用に頭を悩ませる必要がない点
- 共著も含めて、インパクトのある論文が出せる可能性が高い点
- ラボのネットワークが強いので、アカデミアとインダストリーへ進路をフレキシブルに転換できる点
1、2に関しては、小さな研究室でも運営がしっかりなされていれば問題ないと思いますが、特に3に関しては小さな研究室ではすぐに手に入れられないメリットなので、もし迷っているなら大きな研究室を選択することをお勧めします。
詳しくは、“ポスドクの研究室でビッグラボを選ぶ5つのメリット・3つのデメリット”でまとめてあるので、合わせて読んでみて下さい。
Natureの“Postdoc: Big lab, small lab?”が面白いので参考にして下さい。
3. 留学先の予算は十分あるか?
お金のない場所では満足な研究は遂行できません。最低でも留学期間中をカバーする程度の研究費(グラント)を取っているかは、是非確認しましょう。
NIHのサイト“Research Portfolio Online Reporting Tool; NIH RePORT”から留学先のPIがどの程度のグラントを獲得しているかを調べると良いと思います。
参考までに、ポスドクを一人雇用するのに必要な予算は約$100,000と言われています。
4. 過去3-5年間の間にコンスタントに論文が出ているか?
直近3-5年間の間にどれくらいの質と数の論文が出ているのかを、研究室ホームページもしくは“Pubmed”などの論文検索サイトで調べると良いです。
実際にあるラボでは、所謂サイエンスの三大科学雑誌CNS (Cell, Nature, Science)以外には論文を出さないという方針のラボもあります。そういう方針のラボでは”Publish or Perish“で大きな論文を出すか、何も出せないかの2択になるでしょう。
また、別のラボではCNS有り、その姉妹誌有り、それ以下の雑誌も有りとまんべんなく論文が過去数年の記録にあれば、ボスが何とかして論文を出すところまでサポートしてくれる可能性は高いことが伺えます。
5. 自分がやりたい/身につけたい事が行われているか?
自分が研究したい事は何なのか?今後どういったスキルを習得したいのか?それらが留学先研究室で達成出来そうかを、留学先候補の研究室の論文をチェックしておきましょう。
もしくは直接Emailで丁寧に伺えば、運がよければ対応してもらえます。
6. フェローシップの応募には積極的か?
フェローシップを取ることはアーリーキャリアにおいて圧倒的にプラスに働くので、研究室でフェローシップを取っている方が多いのか、積極的に応募をサポートしてくれるかは、直接コンタクトをとって確認すると良いでしょう。
フェローシップを取れると2年程度は給料の心配をしなくていいのも良い点です。PIも喜んでくれるはずです。
日本人のポスドクが応募できるフェローシップのリストは、“日本人ポスドクが応募可能なフェローシップ・研究助成の網羅的リスト”で詳しくリスト化してあるので参考にしてください。
フェロシップへの応募を推す理由は、“PhD/Postdocにフェローシップへ応募してほしい3つの理由”も合わせて読んでみてください。
7. ラボの卒業生の進路は自分のキャリアプランにマッチしているか?
最後に、ラボでのトレーニングを終了したOB/OGの方達が、アカデミアで活躍している方が多いのか、それとも企業(インダストリー)で活躍している方が多いのか、チェック出来ると良いです。
インダストリーで活躍している方が多ければ、そのラボのインダストリーでの評判もおそらく高いので、他の候補者よりも少し優位になる場合もあるでしょう。
しかしそこまで深く進路調査をするのは難しいので7に関してはオプションくらいにとらえておいていいと思います。
まとめ
- 留学後のプランを考える、アカデミアかインダストリーか?
- PI (ラボのボス)を誰にするか?
- 留学先の予算は十分あるか?
- 過去3-5年間の間にコンスタントに論文が出ているか?
- 自分がやりたい/身につけたい事が行われているか?
- フェローシップの応募には積極的か?
- ラボの卒業生の進路は自分のキャリアプランにマッチしているか?
7つほどチェック項目を設けましたが、1-6は大切で、7まで聞けたら上出来です。
受け入れてもらえるかどうかは先方次第なので、興味があればまずはコンタクトを取ってみてください。返事がなければ、今の所属のボスに頼んで催促してもらいましょう。経験上、職位が上の方からの問い合わせの方が目に留まる可能性が高いので。
“転職時に運を引き寄せるために実践しておきたい2つのこと”でもまとめていますが、運とはネットワークとポジティブな選択をするときに伴うものだと考えているので、もちろん留学せずに国内で研究室を探すのも有りですが、目標を持って留学すればきっと運を引き寄せて良いステップアップが出来ると思います。
ポスドクを始めるあたっては研究室の変更を伴うことが多いと思いますが、その際のメリットなどは“ポスドク・大学院での研究室変更の4つのメリットと2つのデメリット”も合わせて読んでみてください。
後々後悔しない研究室を選ぶ事が出来るよう陰から応援しています。ポジティブな選択をしていけばきっと大丈夫です。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
“Finding the right lab”を参考にしました。
参考になった、面白かったと思って頂けたら是非シェアして下さい 🙂
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