進路に迷っていた博士課程中に経験して良かった4つの事

Key to success
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こんにちは、masayaです。

博士課程在学中はアカデミアか企業へ進むのか?、そのためにはどういった準備をしたら良いのか?など人生の中でもストレスが多い時期の一つだと思います。

私自身は最終的には縁があって海外ポスドクという道を選択したわけですが、そこに至るまでの過程では研究に力を入れていた事はもちろんですが民間企業への就職活動もしたりと色々な可能性を模索していました。

そういった経緯から、博士課程在籍中に『経験して良かった事』『やっておけばよかった事』が幾つかあるので、今後進路に迷った方の参考になるかもと思ったのでまとめてみました。

1. 博士課程中に経験して良かった4つの事

1-1. 研究に集中

言うまでもないですが、自身の博士課程論文のために研究テーマに集中することはとても良い経験でした。

博士課程中の3年間(修士課程を含めれば5年間)を通して、これまでに分からなかった問題に色々なアプローチで取り組んで解決していく『問題解決能力』の訓練がみっちり出来たのは良かったです。

“博士課程後・ポスドク後の問題解決能力を活かす進路の多様性”でも色々なPhDホルダーの進路についてまとめましたが、この問題解決能力はアカデミアの研究職に進もうが、企業に進もうが確実に役に立つスキルの一つだと考えられます。

特に博士課程中に研究に専念できたのは、日本学術振興会の特別研究員(DC1)による金銭的サポートを受けれたのが非常に大きかったです。

もし日本学術振興会からの金銭的サポートがなかったら正直かなり困っていました。実家からの金銭的サポートはあまり見込めなかったので、おそらくアルバイトにある程度の時間を割かなければいけなかったです。そうなると、研究に専念できる時間は確実に減っていたと思いますし、少ない休みの時間もリラックスできなくて精神的にもよりキツかったと思います。

やはり博士課程学生への金銭的サポートは必要だと思うので、国や大学からのバックアップがあれば有難いと思います。ただ待っていてもサポートが受けられないのであれば、自分からサポートを取りに行く気持ちも必要なのかなとも思います。

現状で1番アプライしやすいのは、博士課程在籍中に何度でもチャレンジできる日本学術振興会の特別研究員(DC1 or DC2)だと思うので、是非正しい戦略を持って申請書を出してみて下さい。

申請書の書き方は“海外学振の採択率を少しだけ上げるための申請書の戦略的な書き方”に詳しく記載しましたが、基本的な戦略は特別研究員でも同じなので、興味のある方は合わせて読んでみて下さい。

1-2. 色々なタイプの論文を読む

博士課程中に自分の分野に拘らずに色々な分野の色々なタイプの論文をじっくりと読む時間があったのは、今思うととても良い経験でした。

海外でポスドクをしている時は、結構なハードワーク(実験の方で)をしていて、論文も自身の論文化のために必要なものを重点的に限られた時間で読んでいたので、自分の興味・方向性を見つけたりするような自己分析に近い論文読みはあまり出来なかったかなぁと感じます。

実際アメリカでのポスドク先も読んでいた論文の中でとても惹かれた研究室の中の一つだったので、博士課程中は自身の今後の方向性を見つけるためにも、色々な分野・タイプの論文に目を通すのは決して悪いことではないと思います。

1-3. 共同研究経験

博士課程時代は『共同研究』をしていましたが、これは特に研究人生の早い段階で経験出来て良かった事一つです。

というのも、アメリカでのポスドク期間と製薬企業での研究は全て共同研究で、多様な(異なる分野の)メンバーとコミュニケーションをとるのに博士課程時代の共同研究経験が役に立ったからです。

アメリカでポスドクをしていた約5年間はずっとオーストリアとドイツとの3カ国での共同研究を行なっていましたし、そして製薬企業で基礎研究に従事している今は有機化学、生物学、酵素学や化合物のスクリーニングの専門家がいる多岐に渡る部署とチームとして働いています。

現在はひと昔前よりも難しい課題やテーマに挑戦するために、色々な分野を超えた専門家がチームを組んで『共同研究』を行う事が普通になってきています。

共同研究・チームサイエンスをスムーズに行うためには、サイエンスのスキルと同じくらいコミュニケーション能力も訓練する必要があるので、博士課程中に共同研究の経験が出来れば大きなプラスになると思います。

1-4. 製薬企業への就職活動

もともと製薬企業での創薬研究にも興味がありました。一方で、博士課程中に基礎研究の面白さも知ったので、製薬企業かアカデミアへの進路をとるかで当時は本当に迷っていました。ただしこの当時はどちらかといえばアカデミアよりでした。

ただ指導教員の方と何度か相談する中で今後のアカデミアの状況は良くならないのでは?ということを言われてきたので、後悔のないようやれることはやろうと日本国内の製薬企業の研究職への就職活動を行いました。

博士課程2年の段階でどれくらい製薬企業の研究職にフィットできるかというのも気になっていたので、普通にエントリーシートを書いて企業説明会に行って面接を受けてという就職活動をしました。

結果としては日本国内の製薬企業の研究職には縁がなかったわけですが、自己分析の良い機会になったり当時の自分の外部からの評価などが垣間見れたので製薬企業の研究職への就職活動は決して無駄にはならなかったと今でも思っています。当時は結構ガッカリはしましたけど…

これを機に完全にギアをシフトして海外でポスドクをするための海外学振の準備を始めたので、就職活動はとても良いターニングポイントになったと思います。

また、アメリカでのポスドクを経験した後に、アメリカでの製薬企業の研究職への就職活動も経験したので、日米の就職活動の違いを経験出来たのは貴重な経験になったと思います。

最初からアカデミア一本の方には関係ないかもしれませんが、少しでも視野を広げてみたり、迷っている自分の自己分析をするという意味でも企業への就職活動は良いターニングポイントになるかもしれません。それが良いきっかけになって、実は企業の方が向いている事がわかれば、素晴らしい適材適所だと思います。

製薬企業への就職活動を考えている方は、“理系の企業研究のやり方を徹底解説!【研究開発職を志望する院生へ】”などの一連の記事がとても参考になるので読んでみて下さい。実際これらの記事を読んだ後で、博士課程当時の就職活動がいかに甘かったか、準備不足だったかと感じました。

 

Inspiration dream

2. 博士課程中にやっておけばよかった2つの事

2-1. 英語(ListeningとSpeaking)の勉強

渡米当初最も困ったのが、『みんな何話してるか分からない…』というくらい英語が聞き取れなかった事でした。

海外ポスドクのポストと予算が確定してから渡米するまでは約8ヶ月ほどありましたが、その期間中にもっと効率的な英語のリスニングとスピーキングの訓練が出来たんじゃないかと今でも少し後悔しています。

渡米までの英語勉強で取り組んだこと

  • 英会話スクール(1時間のグループ授業2コマ/週)
  • 文法や所謂使える英会話フレーズの本3冊で勉強

英会話のグループレッスンでは1時間のレッスンに3-4人程度参加者がいるので、自分から話す機会は単純にレッスン時間の1/4の15分、週2回で30分程度。

留学や渡米した方なら分かると思いますが、単純に英語を聞いて話して会話をした時間が圧倒的に足りませんでした。今考えると、これでは渡米時英会話で苦労するのも無理はないです。

そうならないためにも、英会話、特にスピーキングとリスニングに触れる時間を多く確保する事が望ましかったんじゃないかと感じています。

今ならオンライン英会話のサービスも昔より遥かに充実して選択肢が多いと思うので、自分の好みに合ったものを選んで英語学習に時間を費やすのは悪いアイデアではないと思います。

また英語に耳を慣らすという意味で洋画を見てみたりもしましたが、話している英語が難しかったりセリフのスピードが速買ったり、時々セリフの声が小さくて聞き取れないなどで、正直なところ英会話初心者にとってはかなりハードルが高かったです。。。

映画は入門編としてはちょっとレベルが高いからという時には、英語のアニメがお勧めです。渡米後の英会話の学習法として『英語圏(アメリカ・イギリスなど)の子供向けアニメ』をYouTubeやDVDで視聴していました。

渡米後の英語学習で役に立った事については、“英語が初心者だった留学初期に役に立った3つの学習方法”を参考にしてみてください。

2-2. 海外旅行

実は2012年に渡米するまでに海外旅行に一度も行った事がなかったので、『初めての海外=研究留学』という感じでした。

初めての海外ポスドクとしての研究生活、初めての英語環境、初めての海外と本当に初めてだらけで、アメリカ入国時の入国審査、バッゲージクレームでの荷物受け取り、国際線から国内線への乗り継ぎなど慣れていない事が多かったです。

海外旅行の経験でもあれば入国から乗り継ぎくらいまでの部分はもう少しストレスフリーで出来たんじゃないかと、今でもちょっとだけ後悔しています。

なので海外へポスドクとして、もしくは長期赴任で行く前には一度くらいは海外旅行を経験しておくのは悪くないと思います。

 

Luggages

まとめ

  • 色々なタイプの読んだり、自身の研究に専念し博士課程中に今後の方向性を考えてみる
  • 自己分析をしたり、視野を広げるために企業への就職活動をするのは良いターニングポイントになるかもしれない
  • 少しでも海外へ留学したり仕事をする可能性があれば、英会話(リスニング・スピーキング)のトレーニングはやっておく。海外旅行も。

総じて博士課程中は良い指導教員にも恵まれた事もあって、良い時間を過ごせました。しかし海外でのポスドク初期の頃は英会話には本当に苦労させられたので、ベタですが若いうちから英語の勉強に取り組むことはとても良い自己投資だと思います。

 

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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