こんにちは、masayaです。
以前の投稿“英語が苦手だからこそ上達させたいプレゼンテーションの構成とポイント“で、プレゼンテーションの構成とポイントについてまとめた際に、『練習がとても大事だ』ということはお伝えしました。
では実際にどういう練習をすることで、限られた時間でプレゼンテーションを本番までにきっちりと仕上げていくのか?
今回は大事なプレゼンテーション本番までの限られた時間で効率的にプレゼンテーションを洗練していくための『練習』に関するポイントについてまとめます。
1. プレゼンテーションの練習の目的
まず始めにプレゼンテーションの練習の目的は、『データや資料をまとめたスライドのセリフを覚える事』…ではありません。
プレゼンテーションの練習の目的は、『スライドに込めたメッセージを洗練してシンプルなストーリーを作り、聴衆の方に理解してもらう』ことです。
論文発表、ジョブインタビューなどプレゼンテーションの目的は時と場所により変わってきますが、あくまでも目的(ゴール)は、
- 聴衆の方に理解してもらうこと
- 聴衆に方に興味を持ってもらうこと
- 聴衆の方にインパクトを与えること
であり、プレゼンは常に聴衆の方のために(外向き: Outward)行っていることを頭に入れておかなければいけません。
プレゼンの目的が、
- 自分の努力の結果を全て紹介する
- 質問されたくないから複雑なスライドを作る
- 時間がないので論文の図のコピペで簡単に済ませよう
など、自分にとって都合の良いように(内向き: Inward)なってしまわないように注意する必要があると思います。
“All serve the speaker, not the audience”
2. プレゼンテーションの練習のポイント
では実際にどういったポイントについて注意してプレゼンテーションの練習に取り組むのがいいのか?以下にプレゼンテーションを仕上げるための練習のポイント10点についてピックアップして紹介します。
2-1. 人前で模擬練習をする
プレゼンテーションの本番は多かれ少なかれそれなりの人数の前で行うので、同僚、友人、家族にお願いして人前で実際に声を出して練習を行うことはとても大切です。
実際に人前で声を出して練習をする事で、プレゼンテーションのストーリーの一貫性や簡潔さなどについて、自分一人の練習では気づけなかったフィードバックやアドバイスがもらえます。また人前で緊張しやすい方にとっては、緊張対策にもなります。
最初のうちは一人でPower PointやKeynoteに向かってスピーチを考えることは大事ですが、人前での練習をしないでずっと一人でコンピューターの前に向かってスピーチを読んだりしているだけではあまりいい練習になっているとは言えません。是非、人前で声を出して本番に近い形で練習をして、皆さんからフィードバックを頂きましょう。
2-2. 本番に近い環境を作る
プレゼンテーションの本番になるべく近い環境で練習を行うことは比較的簡単に出来る大事な対策です。例えば以下のような準備は簡単にできて本番に近い環境を作り出せるはずです。
- 本番と同じ会場で練習する
- 本番と同じ衣装を着る(スーツなど)
- 本番と同じようにプロジェクターを使う
- ポインターを用意する
- などなど
学士、修士、博士論文審査では構内のどこかの講堂や部屋で行われると思います。可能であれば講堂・部屋を予約して本番と同じ会場・機器で練習できれば、本番前にスライドの見にくい色や小さくて読みにくい字を見つけて修正が可能です。
本番と同じ場所が借りれられなくても、パソコンを眺めて練習するのではなく、ミーティングルームなどへ行き少なくともプロジェクターでスクリーンに映し出して練習する方が本番に近い環境が整うので効果が高いと思います。
2-3. ストーリー/スライドのメッセージをシンプルにしていく
プレゼンテーションの練習の最大の目的の一つが、『スライドのメッセージを減らしてシンプルに仕上げていくこと』です。
プレゼンテーションを聞く相手の多くは24時間後にはプレゼンテーションの内容はあまり覚えていないと言われることもあります。特に複雑なメッセージのプレゼンテーションなら尚のことなので、どんなバックグラウンドを持った聴衆の方がいるかにもよりますが、スライドのメッセージはシンプルにわかりやすいものにしていくことを意識することは大切です。
プレゼンテーションの練習の本質はストーリーとスライドをよりシンプルにしていくことだと言っても過言ではないと思っています。
私もアメリカの転職活動のプレゼンテーションの練習の際に、ポスドク時代のプレゼンテーションの上手なボスから『コレはカット、アレも要らない』などと、スライドをシンプルにしていくためのダメ出しを沢山頂きました。
どのデータがストーリーに寄与する上で重要かを意識する事で、スキップしても大丈夫なデータがわかってくると思います。自分自身で判断が難しいは模擬練習の際に、練習に協力してくれている方達にコメントを求めてみるのも大切です。
スライドを視覚的かつインパクトのあるものに仕上げていくための具体的なポイントに関しては、“プレゼンテーションのスライドを視覚的に作り変えるための5つのポイント”を合わせて読んでみて下さい。
2-4. 色々なストーリー/スライド構成を試す
最初に考えたストーリーやスライド構成・スピーチ(プランA)で手応えがあれば素晴らしいですが、そういった手応えが無ければプランB、プランCのスライド構成・ストーリーと色々と試していく事は本当に大切です。
以前ジョブトークのプレゼンテーションで最初に2章立ての構成でプランAのストーリーを組んでいてしっくり来なかった場合がありました。その時は前半のストーリーをカットして、後半のストーリーのProblem & Solveにより焦点を当てたプランBのストーリーに変更したことで内容が格段に良くなったことがありました。
人によってストーリー作りも好みがあると思いますし、プレゼンテーションの場にどんなバックグラウンドを持った聴衆の方達が集まるのかにもよりますが、プレゼンテーションの構成・ストーリーは色々と試してみて柔軟に対応していくと良い内容に洗練されていくと思います。
具体的なストーリーの作り方に関しては、“4ステップで作る良質なプレゼンテーションのストーリーの作り方”を参考にしてください。
2-5. スライドの図・色・フォントに統一感を持たせる
プレゼンテーションが苦手な人(内向きのプレゼンター)が行ってしまうことの一つにスライドに使用する図、色、フォントなどに統一性がないことが挙げられると思います。そう言った統一性が欠如していると、プレゼンテーションを見聞きする側としては、プレゼンテーションの内容について行くのはちょっと難しいかもしれません。
色々なところから図や表をコピー&ペイストして統一感をなくして見辛いスライドを作るよりも、ちょっと一手間かもしれませんが自分で色などを統一した図やオブジェクトを作成してプレゼンテーションで一貫して使うことは、聴衆の方達にプレゼンテーションのメッセージを理解してもらう上で役に立つはずです。
2-6. 間違えた箇所/質問をメモする
一人で練習している時、模擬練習をしている時も間違えた箇所や後で修正したい個所についてメモを取っておく事は非常に大切です。メモを残す事で、忘れずに後でその部分に戻って修正出来ます。
特に一人で練習する際は、間違えた個所について適時修正していくといいと思います。
また人前で模擬練習する時は、プレゼンテーションに対するフィードバックや質問を忘れないうちにちゃんとメモを取るといいです。練習の際に同僚やボスから聞かれた質問は結構本番でも聞かれる可能性があるので、しっかりとメモしておき質問対策をしておくのがいいです。
プレゼンテーションの練習に付き合ってくれている相手に、模擬質問をしてもらうのも良い方法の一つです。
2-7. スライドの優先順位を考えておく
プレゼンテーションの途中でも質問が飛んでくる場合がよくあります。質問が途中でくるということは、聴衆の方々がプレゼンテーションをちゃんと聞いてくれていて、どうしても今疑問を解決したいという場合で喜ばしいことです。
しかし質問によって発表時間が少なくなるのも事実です。
そういった場合に備えるためにプレゼンテーションの中核を担うような優先順位の高いスライドとスキップしてもさほどプレゼンテーションのストーリーに影響の少ない優先順位の低いスライドを決めておきます。
スライドの優先順位を予め考えておく事で、質問の応対やプレゼンテーション時の機器のトラブルなどで時間が足りなくなった場合に優先順位の高いスライドにフォーカスして話し、優先順位の低いスライドをスキップして聴衆の方に大事なメッセージは伝えることが出来るようになります。本番で時間がなくなることによって焦ることなくも減ります。
2-8. ポインターを使う
以前の“英語が苦手だからこそ上達させたいプレゼンテーションの構成とポイント“でも触れましたが、ポインターをグルグル回して説明するのは聴衆の方達がスライドのどこに意識を集中させなければいけないのか迷わせてしまうのでお勧めはしません。
せっかくの練習の機会に、ポインターの動かし方も意識して練習すると、プレゼンテーションの質がグッと上がります。ポインターを使って説明するときは、スライドの今説明している箇所に対して、ポインターを静止させて聴衆の視点を大事な場所に留めてもらうよう意識すると良いです。
例:ポインターをグルグルさせながら説明した場合
2-9. タイマーで時間を図る
人前での模擬練習を何度か重ねてストーリーとスライドの練り直しが一段落した後に、プレゼンテーションにかかる時間をタイマーで測りながらスピーチやスライドの調節を行います。
60分のプレゼンテーションならば45-50程度、30分のプレゼンテーションならば25分程度に収まるようにすると、プレゼンテーションの途中で質問されても最後まで発表するのに十分な時間が残るはずです。
タイマーで時間を計りながら練習をしていても、先ほども述べたように気になる箇所が見つかれば、練習をストップさせて修正したりメモを残して後で変更を行うと良いと思います。
2-10. レコーダーで録音する
人前でずっと練習できるわけではないので、一人で練習する時はレコーダーもしくは録音機能があるアプリなどを活用して、『自分がどういった抑揚・速さで話しているのか』について確認するのは効果的です。
特に英語でのプレゼンテーションの場合は、大事なデータなどに関わる単語の発音なども録音でチェックすると、案外気付かなかった自分の英語のアクセントに気づくこともあると思います。
3. プレゼンテーション本番直前のたった1つの注意点
プレゼンテーションの本番前は多くの方は緊張していると思います。プレゼンの最中に失敗したくないという思いから、本番直前までプレゼンのスライドを見たり、修正したり、原稿を復唱してしまうかもしれません。
しかしそういった行動は不必要に自分の緊張を煽ってしまうことに繋がりかねないので、プレゼンテーション本番前の注意点として『プレゼンテーション本番直前は何もしないで出来る限りリラックスに努める』ようにすべきだと考えます。本番までに十分な練習が積めていれば、何も焦る必要はないので大丈夫です。自分を信じて、プレゼンテーションを楽しんでください。
スポーツでも同じだと思いますが、練習できる事は本番でも出来る。練習の成果を100%発揮するためにも、プレゼンテーション本番前にメンタルを整えることはとても大切です。
まとめ
- プレゼンテーションの練習の目的は、聴衆の人達の理解してもらい、興味を持ってもらう事である
- プレゼンテーションの練習は、プレゼンターに都合の良い準備をする(内向き)のではなく、聴衆の方に簡潔なメッセージを伝える(外向き)ために行う
- プレゼンテーション本番前は、練習の成果を発揮するためにもリラックスしたメンタルコンディションを作ることに努める
プレゼンテーションは誰のため(聴衆)に行なっているのかを意識して練習すればよい準備が出来るはずですし、重要なターニングポイントでのプレゼンテーションも成功に近づくと思います。
最後までお付き合いありがとうございました。
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[参考]
Prioritize the needs of the audience when giving a presentation
「本番までにプレゼンテーションをきっちり仕上げるための練習方法」への2件のフィードバック