ポスドク・特任助教・助教の3つの職種の位置付け・職務内容・給料の違い

Postdoc, assistant professor
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こんにちは、masayaです。

博士課程後やポスドク後の進路を考えるにあたり、アカデミアへ向かうのか企業へ向かうのか悩む人も多いと思います。

博士課程修了後で多いアカデミアの進路の選択肢はポスドク、特任助教、助教の3つが一般的だと考えられていますが、実際のところこの3つの職種の違いをよく知らなかったので、『ポスドク・特任助教・助教の違い』について調べた事についてまとめました。

1. ポスドク (Postdoctoral Fellow)

ポスドクの位置付け

ポスドクは博士課程修了後の任期制の研究職で、アカデミアの研究室主宰者 (Principal Investigator: PI)や企業での研究職へ就くための重要なトレーニング期間にあたります。

海外ではPostdoctoral FellowやPostdoctoral Research Associateなどの名称で呼ばれますが、postdoc (ポスドク)で通じます。

日本では後述の特任助教と並んで博士課程後の任期制のポジションで、助教になれなかった人が就くポジションというイメージを持たれているの少し残念ですが、海外では日本よりも博士課程後の重要な進路として認知されていて、PhD取得後は多くの方がポスドクの研究室を探します。ちなみに米国でのポスドクの平均年数は5年程度だと言われています。

通常は1-5年のポスドクのトレーニングを経て、アカデミアの研究室主宰者ポジションや製薬企業などの企業の研究職へ応募していきます。

ポスドクの職務内容

ポスドクの職務内容は、所属する研究室主宰者であるボスの研究計画に沿った研究を行い、成果を出し、論文としてまとめることが一般的です。

所属先や研究室の運営方針によっては、自身の研究テーマの他に学生の研究指導にも関わることもありますが、通常は研究のエフォートがかなり高いです。

ポスドクの給料

ポスドクの給料は、研究室主宰者であるボスの研究予算(Research Grant)から支払われることが一般的ですが、ポスドク自身でフェローシップへ応募し自身の給料を獲得してくることも可能です。

ポスドクにとってフェローシップの獲得は初期の研究キャリアにとって重要な役割を持っているので、積極的に獲得を狙っていくのが好ましいです。

分野にもよりますが、ポスドクで獲得できるフェローシップは応募要件、給料、サポート年数、研究費の支給の有無など非常に多くの選択肢があります。詳しくは“日本人ポスドクが応募可能なフェローシップ・研究助成の網羅的リスト”でまとめてあるので、合わせて読んでみて下さい。

日本でポスドクをやる場合の年収は科学技術政策研究所による研究活動及び生活実態に関する調査のデータよると、300万程度のようです。アメリカでの年収はNIHが発表しているポスドクの給料水準“Salary and Stipends”によるとポスドクの経験年数に応じて$50000〜$60000になります。

NIH salary stipends

From NIH Salary and Stipends

 

2. 特任助教 (Research Assistant)

特任助教の位置付け

特任助教は大型研究予算の獲得などで募集される任期付きの助教職です。大学や雇用契約によって雇用形態は全く異なるので、一概に特任助教を説明するのは難しいですが、『雇用契約に基づいた研究計画を遂行する短期の任期付き大学教員』という表現が近いかもしれません。

特任助教は一応大学教員なのでポスドクよりは響きが良いかもしれませんが、雇用形態・職務内容・給料などは大学によってまちまちなので、実際に特任助教になることを考える際は上記の点についてよく確認する必要があるかもしれません。

特任助教の任期は短く、1-2年毎の更新を行なっていくことが多いようです。しかしながら、通常の大学の運営費から給料が出ているわけではなく、研究室主宰者が獲得している研究予算から給料が出ているので、当該予算が打ち切りなどになれば更新も難しくなることには注意する必要があります。

海外では特任助教に該当する職位はあまり見かけませんが、大学や研究機関と一時的な雇用契約を結ぶResearch Assistantと呼ばれる職が最も近いんじゃないかと考えられます。

特任助教の職務内容

ポスドクと違って特任助教は教員でもあるため、学生の指導も行うこともありますが、この教育の責務の大小も大学や雇用形態によって異なってくるようです。

大型の研究予算の獲得に伴い設置される特任助教ポストも多いため、それらの予算の出所である研究計画を進めつつ、学生の指導も行っていくという感じです。

特任助教の給料

特任助教の給料は雇用先の大学の規定によって変わってきますが、短期の任期付きであるため年俸制をとっているところが多いです。助教(正規雇用)の年収が500-600万程度を考慮すると、400-500万程度ではないかと推察されます。

例えば、ある大学の特任助教職へ実際に応募するにあたりより具体的な数字を推察したい場合は、各大学が公表している年俸制給与に関する規定をチェックしてみるのがいいでしょう。

Googleで『XXX大学 特任助教 給与』と検索すれば容易に見つかると思います。

特任助教とポスドクの給料の数字を比較すると、給与面では日本のポスドクと同程度〜やや良いくらいをイメージしておくと良いかもしれません。

 

Knowledge

3. 助教 (Assistant Professor)

助教の位置付け

助教はアカデミアのラダー(助教→講師→准教授→教授)を登っていくための最初のポジションと考えられています。ひと昔前は博士課程修了→助教という流れが普通だったようですが、昨今のポスドク1万人計画大学の運営交付金の縮小などの影響で『助教』というアカデミアの入り口のポジションの獲得が非常に難しくなっているのが現状です。

国立大学関係予算の充実及び税制改正について(国立大学協会)より

 

正規の助教ポジションの獲得が難しいことが、ポスドクや特任助教といった短期の任期付きポジションの人数の増加の一因になっているのは否定できません。

若手研究者をめぐる状況についてより

 

助教は終身雇用、と言いたいところですが最近では5年などのポスドク・特任助教と比べれば少し長めの任期付きポジションも出てきているので、応募前や赴任前には注意が必要です。

海外では助教に相当するAssistant Professor職は、日本と違い研究室主宰者であり研究室のボスになる点が大きく異なっています。

なのでいち早く独立して研究室を運営したいなら、海外でチャレンジするのも良いキャリアパスだと思います。

助教の職務内容

助教の職務内容は大きく分けて『高等教育』と『研究』があり、あとは大学・学部・大学院の運営に関わる仕事にも携わります。

文部科学省の大学教員の職の在り方によると、

教育研究を主たる職務とする職として教授、准教授及び助教の3種類の職を、教育研究の補助を行うことを主たる職務とする職として助手を定めるべきであると考える。

と記載されています。

助教の職務は大学が適切と判断した授業や学生実習を担当したり、大学院生への研究指導を行い次世代の研究者を育てるなどと責任の大きい仕事です。

助教の給料

助教の給料は国立大学か私立大学かによって変わってきますし、各大学の規定により変わってきますが、おおよそ400〜700万程度と推察されます。

これもGoogleで『XX大学 助教 給与』と調べると、各大学の助教の給与に関する情報を見つけられます。

東京大学を例として調べると、の東京大学の職員の報酬・給与等についてによると平均給与は699.8万円(平均年齢 39.9歳)、404〜834万の分布でした。

 

Step to solution

まとめ

  • ポスドクはPhD取得後のトレーニング期間で、研究のエフォートが高く業績を出すことに専念しやすい
  • 特任助教は、大学・プロジェクトにより教育と研究のエフォートが大きく異なる
  • 助教は任期付きのポスドク・特任助教後に就く競争率の高い任期なしのアカデミアのポストで、次世代の研究者を育てる責任あるポジション

まだ誰も知らない疑問の答えを探るという基礎研究が好きなので、個人的にはもう一度PhD取得後になっても国内で特任助教へ進むよりも海外でポスドクをすることを選ぶかなと感じます。

自分自身の方向性、家族の意見、タイミングを考えてみて良い選択ができるといいですね。

アカデミア以外にも博士の進路は色々あるので、“ポスドク後・博士課程修了後の問題解決能力を活かす進路の多様性”も合わせて読んでみて下さい。

 

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

参考になった、面白かったと思っていただけたら是非シェアして下さい 🙂

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