IMiDsとは?もう一つのタンパク質分解誘導薬

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こんにちは、masayaです。

以前タンパク質分解誘導薬(Protein Degrader, PROTAC)について簡単に紹介しましたが、是非もう一つ知っておいてほしいタンパク質の分解を誘導するタイプの薬があります。それは、日本語では免疫調節薬とも呼ばれているIMiDs (Immunomodulatory Imide Drugs)と呼ばれるグループの薬です。

今回は、IMiDsというグループの薬の素晴らしい点や、タンパク質分解誘導薬との比較なども交えてIMiDsについてまとめます。

1. IMiDsとは?

IMiDsとはImmunomodulatory Imide Drugs (免疫調節薬)の略語で、サリドマイド(Thalidomide)と、その副作用を軽減した誘導体であるレナリドミド(Lenalidomide)とポマリドミド(Pomalidomide)などの薬(化合物)グループの総称になります(下図参照)。

IMiDs chemical structures

サリドマイドという薬は新生児への奇形という点で聞いたことある方も多いと思いますが、薬としてもIMiDsは癌の一種である多発性骨髄腫(Multiple Myeloma)という病気の治療薬としても使われています。

 

2. IMiDsの働き方

IMidsもタンパク質誘導薬のように、右手の三角部分でタンパク質を分解するシグナル(ユビキチン: UB)を付けるセレブロンというタンパク質(E3酵素)を掴み、左手の五角形の部分標的のタンパク質を捕まえてきます。

このIMiDsの左手側が結合するポケットは、IMiDsが無ければセレブロンが本来分解すべきタンパク質(MEIS2)が結合します。IMiDsはこのポケットをとても上手に利用して、セレブロンに本来の標的ではない病気に関係するタンパク質(IKZF1, IKZF3 or CK1α)を強制的にプロテアソームでの分解へと誘導します

IMiDs MoA

このIMiDsの働き方から、IMiDsは時にMolecular Glue (分子糊)とも創薬研究の場では呼ばれています。

3. IMiDsとタンパク質分解誘導薬の違い

一見するとIMiDsとタンパク質分解誘導薬は似たように感じます。

確かに薬のコンセプトとしては似ていますが、薬となる化合物のサイズが大きく異なっています。タンパク質分解誘導薬とは?で触れましたが、タンパク質分解誘導薬は2つの低分子化合物をリンカーで繋いだ化合物なのでサイズがIMiDsの3~4倍くらいの大きさになってしまいます。

IMiDs ProDeg comparison

しかし、IMiDsは基本的にはサリドマイドの形を少し変えただけの低分子化合物1つ分なので、タンパク質分解誘導薬に比べてIMiDsの方が圧倒的にサイズが小さく、薬のサイズが小さいことは経口への応用などのメリットがとても大きいです。

では、タンパク質分解誘導薬がIMiDsより優れている点は何なのか?というと、分解したい標的のタンパク質を自由に選択して設計できる点が挙げられます。

IMiDsの左手側はとても小さいので、捕まえてくる相手を選択的に選んで化合物をデザインするのは大変だという印象を持っています。

4. IMiDsの現状と展望

IMiDsはタンパク質分解分解誘導薬に比べてとても進んでいて、既に2つのIMiDs(レナリドミド(lenalidomide)、ポマリドミド(pomalidomide))が薬として承認を受けていますし、さらに数個のIMiDsが臨床試験中です。

このIMiDsの創薬を牽引しているのが、アメリカのサンディエゴに研究拠点がある製薬企業のCelgeneです。

日本では馴染みがあまりないかもしれませんが、Celgeneは世界20位前後で合併前のTakedaやアステラス製薬と同規模の順位につけるとても大きな製薬企業です。

 

現在は他の製薬企業もタンパク質分解誘導薬と併せてこのIMiDsタイプの開発を行なっているはずですが、長らくCelgeneがリードしてきた技術なので今後しばらくはCelgeneがリードしておくことが予想されます。

また大学の研究機関でもIMiDsの研究が活発に行われて、ハーバード大学のEric Fischer先生の名前を良く耳にします。Eric Fischer先生自身が最初のIMiDsの作用機序をNatureに報告し、今もEric Fischer研究室のメインテーマの一つとしてIMiDsの研究が進められています。

Drug discovery

まとめ

  • IMiDsはサリドマイドをベースに作られた薬で、タンパク質分解誘導薬と同様に病気に関連したタンパク質をプロテアソームでの分解へと誘導する
  • IMiDsはタンパク質分解誘導薬よりも臨床研究が進んでいて、Celgeneからの複数のIMiDsが承認されている。
  • IMiDsは今後もタンパク質分解誘導薬と共に注目の薬のタイプである。

IMiDsとタンパク質分解誘導薬はそれぞれメリットとデメリットがありますが、コンセプトとしては厄介なタンパク質を分解してしまおうというアイデアです。今後の創薬研究の進展に期待しています。

 

最後までお付き合いありがとうございました。

参考になった、面白かったと思って頂けたら是非シェアして下さい 🙂

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「IMiDsとは?もう一つのタンパク質分解誘導薬」への2件のフィードバック

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