こんにちは、masayaです。
ポスドクで研究留学をした後の進路で色々あって、アメリカと日本の就職活動を経験しました。今海外で生活している方、もしくはこれから海外へ留学される方で就職活動にいくらかかるのか心配している人もいるでしょう。
そこで今回は実際に両方の日本とアメリカの2つの国で就職活動をした経験から実感した“コスト”の話に焦点を当てて今回はまとめてみようと思います。
日本とアメリカどちらのJobへアプライするかに分けて、応募にかかるコストとインタビューにかかるコストの2つについてみていきます。
1. 応募にかかるコスト
1-1. 日本のJob
日本のアカデミアのポストを例えば最も有名なサイトの一つである“JREC-IN”などで探してアプライする場合、必要書類を準備して郵送することになります。実際にJREC-INで助教相当のポジションで検索をかけたヒットした以下の例のJobへアプライするとします。
JREC-IN #D118021012 のJob
[応募方法(書類送付先も含む)]
1)履歴書
2)これまでの研究内容、publication list
3)「着任後どのような研究に取り組みたいか」
4)推薦人(二人)の連絡先
以上4つの書類(様式自由)を「助教応募書類在中」と朱書きの上、
060−0815
札幌市北区北15条西7丁目
北海道大学遺伝子病制御研究所分子腫瘍分野 宛へ御送付下さい。
1-1-A. 日本在住者
レターパックで送る場合は全国一律510円です。追跡オプション付きです。
日本郵便レターパックのリンクは、“こちら”
1-1-B. アメリカ在住者
アメリカから同様に追跡オプション付きで郵送する場合、USPSのPriority International Mailのenvelopeで$24.95 ($1.00=100円換算で、約2,500円)。
usps priority mailのリンクは、“こちら”
1-2. アメリカのjob
会社、大学、研究所のウェブサイトから必要書類をアップロードして完了。日本からアプライしようが、海外のどこからアプライしようがWeb経由でのアプライなので0円です。
例えばPfizer Careerのページで見つけた助教相当の下のJob(Senior Scientist)へ応募すると仮定します。
Senior Scientist, Protein Sciences
Pfizer currently has two open Senior Scientist positions in the Structural and Molecular Sciences (SMS) group in Groton, CT. The SMS group collaborates with drug discovery projects across diverse therapeutic areas including Immunology, Internal Medicine, and Vaccines. The Ideal candidate will be a highly innovative scientist with significant experience in using protein-engineering approaches to dissect protein structure-function interactions in vitro and in vivo.
RESPONSIBILITIES
- Use cellular and molecular biology tools to engineer proteins for assay development, targeted structural/functional and mechanistic investigation.
- Identify, design, and implement protein and cell-based technologies to understand and validate protein targets of interest.
- Work closely with a multi-disciplinary team to support projects across diverse disease areas.
- Remain current in applicable internal and external literature and apply new findings to address project challenges.
- Effective oral and written communication of experimental work and analysis.
QUALIFICATIONS
- PhD in protein chemistry, biochemistry, or biophysics with 1-3 years of additional research experience.
- Solid background in molecular biology including construct design and expression in a variety of cell systems.
- Significant experience with diverse protein purification approaches for recombinant protein and protein complexes.
- Strong training in biochemical and biophysical characterization approaches (DLS, SEC-MALS, SPR, anisotropy, FRET/BRET)
- Working knowledge of cell engineering and cell-based assays to elucidate molecular interactions at the protein, DNA, and/or RNA level.
- Effective oral and written communication skills to prepare, evaluate, and present scientific work through internal and external meetings.
Jobのマッチングがあってアプライする際は、”Apply”ボタンを押して、ResumeとCover Letterを提出するだけで終了です。0円です。
Cover Letterの作成についてもう少し知りたい方は“アメリカ製薬研究職への就職活動 No2: Cover LetterとResumeの作成”を参照してください。
2. インタビューのコスト
2-1. 日本のインタビュー
最初の書類選考を見事突破した後は、現地での面接になるかと思います。日本の助教相当のポジションでは交通費は受験者負担が普通なので、自費で現地に行くことになります。交通費を出してくれる機関もあると思いますので、当該機関に確認をとってください。
2-1-A. 日本在住者
人口が多いエリアである東京でインタビューを得た場合、大阪ー東京の新幹線で13,600円、博多ー東京の新幹線で21810円です。往復になるので大体30,000-40,000円といったところでしょう。これに宿泊+食事代で10,000円くらいかかる感じかと思います。
2-1-B. アメリカ在住者
仮にアメリカの東寄りに住んでいると仮定しましょう。アメリカの直行便がある街とない街で結構差が出ますが、飛行機の往復で約$1500(150,000円)ほどかかるでしょう。1泊で帰るのはスケジュール的に厳しいので2泊宿泊+食事代で20,000円くらいかかる感じかと思います。
2-2. アメリカのJob
最初の書類選考を見事突破した後は、おそらく電話でのインタビューになるかと思います。電話でのインタビューは通常30−60分くらいです。電話代だけ必要なのでかかっても$1−2、実質ほぼ0円です。次にon-site interviewへ呼ばれても、一般的に応募先のアカデミア・Industryが負担してくれるのでやっぱり0円です。
ポスドクのインタビューでも交通費を負担してくれる場合もあります。
3. 仮に100のポジションに応募して5つのインタビューへ進んだ場合の試算
3-1 日本在住者が日本のJobへ応募してインタビューまでいった場合
(応募)510円x100 + (インタビュー)50,000円x5 = 30,0000円前後
3-2. 海外在住者が日本のJobへ応募してインタビューまでいった場合
(応募)2500円x100 + (インタビュー)150,000円x5 = 1,000,000円前後
3-3. 日本在住者がアメリカのJobへ応募してインタビューまでいった場合
ほぼ0円
Note: ただし、ビザ取得の関係でインタビューまで辿り着くことは中々難しいかもしれません。詳しくは“研究留学・現地就職のビザの話”を参考にしてください。
3-4. アメリカ在住者がアメリカのJobへ応募してインタビューまでいった場合
ほぼ0円
まとめ
まとめてみると、やっぱり海外から日本のJobを獲得しようと思うと、中々の出費を覚悟した方が良さそうです…海外のアカデミアのポスドクの給料が平均で$50,000(約5,000,000円)なので、ここから日本への就活費用を捻出するのはかなり大変だと思います。特にLivingーcostの高い西海岸・東海岸の大都市ではかなりきついことが予想できます。将来的に日本でのポジションを獲得しようと研究留学される方は、ぜひ計画的に貯蓄してください。
今回はアメリカをベースに応募する仮定で考察しましたが、欧州などの海外在住でもそれほど金額は変わらないのではないでしょうか。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました:)