こんにちは、masayaです。
ポスドクのトレーニング期間を終えていざ就職活動を始めようとした時に、どういったキャリアサイトやツールが利用できるかを知っている事は就職活動の良いスタートを切る上で大事だと思います。
日本への就職活動にとってはJREC-INがもっともポピュラーなツールだと思いますが、CPPWEBというサイトも在米研究者の間で密かに評判のいいツールです。
アメリカで就職しようと決めた時には、まずどのキャリアサイトを見れば効率的に製薬企業の研究職への就職に関する情報収集できるかを調べるところから始まりました。
就職活動の良いスタートを切るために、海外(アメリカ)でポスドクのトレーニングを終えて就職をしようと決めた時に『利用した・利用を考えたキャリアサイト・就職支援に関するツール13個』についてまとめました。
1. アメリカ向け就職活動ツール
1-1. LinkedIn
アメリカで最もポピュラーな就職活動のツールの一つがビジネス用SNSのの“LinkedIn”です。下図のようにLinkedInのHome画面の右下の鞄のようなアイコン💼からJob Searchが始められます。
LinkedInに登録しておけば、求人のsuggestやリクルーターを介した転職活動も出来ます。アクティブにリクルーターにコンタクトしてもらいたいなら、下図に『Where are you in job search?』の項目の『Actively applying』を選択しておくと良いです。
LinkedInは就職活動にとっても便利ですが、転職活動以外の目的でもとても便利なツールなので、“ネットワーク管理・英語学習などLinkedInを転職以外にも活用する3つのメリット”も合わせて読んでみてください。
1-2. BioSpace
アメリカの製薬企業・バイオテックなどのライフサイエンス関連企業の求人がまとまっているのが“BioSpace”というサイトです。
アメリカの製薬企業への就職活動を考えるならBioSpaceはとてもお勧めできます。なぜなら一般的なキャリアサイトと違って製薬企業以外の企業の求人が掲載されてないので、製薬企業の求人のみを閲覧しやすい仕様になっているからです。
BioSpaceへ登録しておくと、応募したい求人へBioSpaceから応募することも可能です。
またBioSpaceの良いところは、アメリカの製薬業界のNewsとCareer Resource (キャリア支援の情報)が豊富である点が挙げられます。
面白いのが“BioSpace Hotbed Regions”と呼ばれるツールで、アメリカに拠点を置く製薬企業・バイオテク企業を地図を見ながらロケーションを確認できます。
アメリカの仕事は基本的には日本でいう転勤にあたるものはないので、職務契約が継続している間は仕事を得た場所にずっと住むことになります。都市によって物価やリビングコストもかなり違ってくるので、都市を基準に仕事を探す方も多くいます。
都市による物価・リビングコストについて調べてみたい方は、“アメリカで留学・転職前に知りたい給料と物価の調べ方”を合わせて読んでみてください。
1-3. Glassdoor
BioSpaceと似た機能を持った求人サイト+就職支援ツールが“Glassdoor”です。
基本的な求人検索はBioSpaceと似ていますが、Glassdoorの最も便利な機能は応募を考えている職種や職位の給料が調べられることです。そのためにはGlassdoorへの簡単な登録が必要です。
もう一点Glassdoorの便利なところは、応募を考えている会社の面接(電話・オンサイト)のレビューが閲覧できる点が挙げられます。このレビューからインタビューで尋ねられる質問の傾向やインタビューの対策が出来ることもありそうです。
ただし、これらのレビューは匿名による投稿なので、あまり当てにしすぎるのも良くはないのかなと個人的には感じています。それよりも身近にいる就活経験者に尋ねて得た情報の方がはるかに信頼性があると思いますし、自身の質問対策やプレゼンテーションの準備に集中したほうが後悔のない準備が出来るはずです。
Glassdoorを使った給料の調べ方は“アメリカで留学・転職前に知りたい給料と物価の調べ方”にまとめてあるので、興味のある方は合わせて読んでみて下さい。
1-4. Indeed
自身の就職活動時は使いませんでしたが、“Indeed”というキャリアサイトもあります。
BioSpaceはライフサイエンス企業に特化しているのに対して、GlassdoorとIndeedは他の業界の求人も扱っているので、製薬企業への就職をメインで考えている方はBioSpace、それ以外の業界を考えている方はGlassdoorやIndeedを使っていくのが良いのではないかと思います。
1-5. Nature Careers
雑誌Natureを持つNature Publishing Groupが提供するキャリア支援ツールが“Nature Careers”で、基本的には全世界からのアカデミア・企業の両方の求人を掲載しています。
求人検索もとても簡単で、下の図のようにキーワード欄に『Job titles, field, keyword』もしくは『Location』入れるだけで検索可能な点も手軽で良いです。
またクオリティの高いキャリアに関連したNewsやコラムも掲載しているので目を通してみるのも面白いです。
Nature Careerはどちらかといえばアカデミアの求人よりなツールで、インダストリー、例えば製薬企業の求人はあまり掲載されていません。ですので、海外のアカデミアへの就職を考えている方にとっては優良な就活支援ツールだという印象を持っています。
製薬企業の求人を探す場合は『LinkedIn』もしくは『BioSpace』が製薬企業・バイオテク関連の求人を豊富に扱っているので、それらを利用すると良いと思います。
1-6. Science Careers
“Science Careers”は、雑誌Scienceを持つThe American Association for the Advancement (AAAS)が提供するキャリア支援ツールです。
基本的な提供情報はNature Careersと似ているので、使いやすいを選ぶと良いと思います。
1-7. Cell Career Network
雑誌CellのCell Publishing Groupが提供する“Cell Career Network”というキャリア支援ツール。
これもNature Careers, Science Careersと似たようなツールと考えていいと思います。ただ現在のところ、キャリアに関する Newsやコラムは掲載していないようです。
Nature Careers, Science Careers, Cell Career Networkは似た仕様になっていると思われるので、自身にとって使いやすい物を選んで使っていくと良いと思います。しかし、3つのうちの1つにしか掲載されていない求人情報などもあると考えられるので、3つともチェックすることも大切かもしれません。
2. 日本向け就職活動ツール
2-1. JREC-IN
日本向けの就職活動はこれさえ知っておけば大丈夫なんじゃないかと言っても過言ではないのが“JREC-IN”ではないでしょうか。
JREC-INは科学技術振興機構が運営するキャリア支援ツールで、日本国内のアカデミア・企業の両方から掲載されるポストをカバーしています。使い方もとても簡単で、下図のようにキーワード、勤務地、研究分野、職種で検索出来ます。
JREC-INのTOPページからは博士・ポスドク向けのキャリアフォーラムなどのイベント情報や、卓越研究員の情報、有益な外部リンクなどの情報にもアクセスが可能です。
JREC-INにはWeb応募のオプションも付いていますが、多くの求人ではこのWeb応募欄は『不可』と書かれていて、各大学や企業の応募方法・応募書類のフォーマットに従って応募することが求められます。この辺りの応募の仕組みがWebで受けつけてくれる大学や企業が増えれば、応募者側の書類の準備の負担や郵送などの手間が省けて利便性が上がるのではないかと感じます。
日本国内へに就職を考えるなら、定期的にJRECI-INのチェックやマッチングメールを設定して新着情報に常にアンテナを貼っておくのが良いアプローチだと考えられます。
2-2. CPP-WEB
実際に登録してアメリカはボストンで開催されるジョブフェアに行ってみようと考えたのが、博士・ポスドクの就職サポートを専門に行なっている“CPPWEB”というサービスでです。
CPPWEBのサイトからの実績に関する情報を引用すると、
CPPの参加者は、過去10年間で2,000人以上、CPPのジョブフェアだけでも大手製薬企業などに研究者として就職した人は300人以上です
とかなり信頼できそうな数字が見られます。博士・ポスドクの300/2000人の15%相当の方が就職できたと考えると、良い数字だと感じます。実際に海外在住の日本人研究者からの評判も良さそうことから、海外から日本への就職を考える方にはかなり良いツールだと考えられます。
CPPWEBの過去のジョブフェアのカレンダーを見ると、アメリカの西海岸もしくは東海岸の都市で年に1度、11月頃にジョブフェアを開催しています。2−3年に1度、日本国内でもジョブフェアを開催しています。
これらの過去にアメリカで開催したジョブフェアには、アステラス製薬や第一三共製薬などをはじめとした内資系大手製薬企業が多数参加しています。
また、就職活動の支援としてWEB上でのテレビ会議の形式で就職活動のトレーニング(応募書類の書き方、面接の受け方)やカウンセリングなども行ってくれるようです。
因みにCPPWEBを知ったきっかけは、アメリカでポスドクをしていた時にCPPWEBの村磯さんから受け取ったEメールがきっかけでした。
2-3. 日本国内のネットワーク(恩師や知人のコネ)
日本国内のネットワークの活用は日本国内へ就職を考えるなら、是非活用すべきです。ここでいう日本国内のネットワーク(コネとも言います)には、
- 博士課程時代の恩師や指導教員
- 大学や学会で知り合った知人
などが含まれます。
上記の方たちに電話やEメールで『今誰かXXXのポストを募集している人はいませんか?』、『知り合いで誰か人を募集している人がいたら推薦もしくは教えて欲しい』と、日本国内への就職を考えている旨を伝える事はとても有効です。
JREC-INに掲載されている情報には、すでにある程度候補者の目星が付いた求人も含まれていると思うので、日本国内のネットワークを活用して掲載前の段階から有力な候補者になるのは大事なことです。
何年も海外にいると日本国内にいると方達と連絡が疎かになってしまうこともよくありますが、将来的に日本への就職を考えているならば日本国内のネットワークの知人・恩師へ適度な頻度で連絡や近況報告をすることは大切です。
2-4. BIZ REACH
10万件以上の求人を扱っておりグローバルな人材の求人も多く扱っているというのが“BIZ REACH”というサービス。
実際に登録してみたものの、登録段階で博士や研究を背景にやってきたポスドクにはちょっとマッチしないかなと思い、登録のみで終わってしまいました。
ただリクルーターやBIZ REACHから頻繁に新規求人情報やマッチした求人情報が届いたので、使いやすい方には使いやすいのかもしれません。
2-5. Nature Careers
アメリカでの就職活動ツールで紹介したNature Careersも日本への就職活動ツールにも一応なり得ます。
ただJREC-INに比べると圧倒的に掲載されている日本国内の求人情報が少ないので、ここで自分にマッチした仕事が見つかる可能性は低いかもしれません。
実際に『Where (勤務地)』にJapanと入れるといつも5-20件程度の求人しかヒットしませんでした。
2-6. その他キャリアサイト
その他にもキャリアサイトも沢山ありますが使わなかったのでリンクだけまとめておきます。
大手の転職サイトの利用も考えるなら、“転職サイト比較・ランキング”を参考にすると良いと思います。
まとめ
- アメリカもしくは日本のどちらで就職活動をするかによって、最適なツールを活用していく
- LinkedInやBioSpaceではキャリア支援情報や業界の最新のNewsも得られるので、活用出来るものは活用していく
- 日本向けの就職活動ではJREC-INが最もポピュラーだが、CPPWEBも有効なツールである
上記のキャリアサイトや就職支援ツールを活用していくのも大切ですが、まずは
- 自分自身が何をしたいのか?
- 5年後10年後にどうありたいのか?
について自己分析することも大事にして下さい。
正直なところ海外でポスドクを経て日本へ就職活動を行うのはコスト的に中々厳しいんですが、上記のツールを上手く活用して早期決着できることを応援しています。日米での就職活動にかかるコストに関する比較は、“日本への就職活動のコストは海外在住者は日本在住者よりも3倍近くかかる”を参考にしてみて下さい。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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