研究留学、ビザ/グリーンカード、転職の推薦状:必要になる前に知っておきたい役割と書き方

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こんにちは、masayaです。

海外へ研究留学を始める際、ビザ/グリーンカードの申請、転職で新しいポジションへ移る際ほぼ必ず必要なのが、何通かの推薦状(Reccomendation Letter or Reference Letter)です。推薦状を頼む相手は通常の場合、教授など自分よりも職位が上の場合がほとんどで、彼ら彼女らは多忙のことが多く、0から推薦状を書き上げてくれないケースもあります。ある程度の推薦状のドラフトを自分で作成してサインしてもらうというケースが現実的になる場合が多いと思われます。

いざ必要になった時、いったいどんな風に書き始めたらいいのだろうか?

と私自身困った経験があるので、今日は研究留学とビザ/グリーンカードの申請、転職時に必要になる推薦状の重要性と書き方に関してまとめていきます。

 1. 研究留学における推薦状の役割

研究留学における推薦状の役割は、前職もしくは博士課程での評価、将来性、留学先にフィットするかどうかに参考にされます。顔も名前も知らない人物を判断する上で、第3者からの評価を思った以上に重要な影響を与えます。

私自身ポスドクとして研究留学をする際には、ポスドク先の研究機関から3通の推薦状が求められました。大学院から留学する場合も同様に3通程度の推薦状を求められるのが一般的です。

ただ実際のところ、ポスドクの採用の場合はインタビューをして直接採用するかどうするかの判断をすることが多いと思うので、推薦状の占める重要性は大学院、研究機関、また先生にもよると思いますが、20−30%といったところではないかと考えられています。

ただ内容の乏しい推薦状で留学先からお断りされるのも面白くないので、しっかりと評価、人柄、将来性について盛り込まれているかどうかについて推薦状を書いてくださる推薦者の方とよく話し合って、推薦状のドラフトを添削してブラッシュアップさせていくことは大切です。

2. ビザ・グリーンカード申請における推薦状の役割

ビザ・グリーンカードの承認の可否という観点において、推薦状(Reccomendation Letter)の役割は非常に重要です。

ビザ・グリーンカードの承認においては、見ず知らずのUSCIS (U.S. Citizenship and Immigration Services) の審査官が限られた時間内で、申請者がビザやグリーンカード(永住権)を与える人物として適しているかを判断するために推薦状が参考にされます。この時の推薦状の良し悪しで承認の可否が決まるといっても過言ではありません。

なぜなら、USCIS (U.S. Citizenship and Immigration Services) の審査官は数多くの審査を限られた時間の中で行わなければならないので、申請書類の中で推薦状を最も重視していると以前所属していた研究機関の移民担当部局のスペシャリストの方から教わりました。

上記の観点から、自分のいる分野の中で出来るだけ著名な方から推薦状を書いてもらえると説得力が上がるのでベターです。例えば、国際的な賞を受賞している方、論文の引用回数が10000回を超えている方、分野のトップ研究者の先生などから推薦状を得られたらかなり有効になります。

実際のグリーンカードの取得までの一連の流れは“研究者のグリーンカード(EB2 NIW)取得までの申請過程と所要時間”にまとめてあるので、グリーンカード取得を視野に入れている方は合わせて読んでみて下さい。

3. 次のポジションへ移る(転職)際の推薦状の役割

新しいポジションに採用された際も、推薦状(Referrence Letter)が必要になります。この場合は至ってシンプルで、通常は現職のポジションのボス(PI)が書いてくれることになると思われます。

内容は現職での推薦者の評価、技術、人柄、将来性などを推薦者目線で盛り込むことになります。なので、ボスから良い推薦状を書いてもらえるように、日々誠実に仕事をこなして良い評価(少なくとも人柄面の良い評価)をもらえるようにすることが、転職で次のステップアップへ行くために非常に重要になってきます。

参考までに、現職のポジションの採用責任者(Hiring manager)からは、大きなビジョン(Big Picture)みてプロジェクトに取り組めるのか?についてポスドク時のボスの意見を伺ってきました。ボスはその点を中心に推薦状(Referrence Letter)に書いてくださいました。

4. 推薦状作成までの流れ

  1. 推薦状を頼む相手の承諾を得る(Emailもしくは口頭)
  2. 推薦状のドラフト(草案)作成
  3. 推薦者のチェックとサイン

理想は推薦状を書いてくれる人が最初から最後まで書いてくれるのがいいですが、推薦状を書いてくれる先生達は非常にご多忙なケースが多いので、自分で推薦状のドラフト(草案)を作成して、サインしてもらうという場合が現実的だと思われます。なので、今回は上述のこちらからドラフトを作成して目を通してもらってサインするというやり方についてまとめます。

1. 推薦状を頼む相手の承諾を得る

まず始めにやらなければいけないのが、何通の推薦状が必要か?誰にお願いするか?だと思います。

  • ポスドクの研究留学時の研究機関:1–3通(直接的な知り合いの先生が好ましい)
  • 転職の際のO1ビザ:5-8通(間接的な知り合いで著名な先生が好ましい)
  • グリーンカード:5-8通(間接的な知り合いで著名な先生が好ましい)
  • 転職時の会社:1–3通(直接的な知り合いの先生が好ましい)

特にO1ビザ・グリーンカードの申請に必要な推薦状は、自分のことは直接知らないけれども、論文を引用してくれていたり、学会などで面識がある著名な先生が望ましいです。申請者が“国際的な評価を得ている”という評価を得るために、アメリカ以外の国在住の推薦者からの推薦状が1−2通含まれていればなお良しです。

先ほども述べましたが、推薦状を書いてくれる相手は、出来る限りその分野で著名であることが望ましいです。極端な話、どこぞの学生が推薦する内容と著名な方が推薦する内容では、説得力という部分ではるかに後者の推薦状の方が有効であるケースがほとんどでしょう。

Googleで検索すれば例文は沢山見つけれることができると思いますが、実際に私がグリーンカード申請時に推薦状をお願いする際に使ったEmailの文面を引用します。

Title: Request for verification letter for green card

Dear Dr. XXXX,

I am currently working in the XXX lab as a postdoc and I am writing this email to ask your help to support my petition for the green card.  As you heard from Brenda, I am preparing to file documents for US permanent residency.  I am really glad that you support my filing for green card.

I would like to ask you two things:

  1. Please read the draft letter I attached and return it with your signature and institute letterhead.
  2. Send me your full CV, please (I need it for my petition together with the support letter).

Thanks for your time and support!

Best regard,

Masaya

Masaya Yamaguchi, PhD

Postdoctoral Research Associate

1) 自分が誰なのか、2) どういう接点があるのか、3) 何をして欲しいのかについて簡潔に書くのがいいと思います。メールには念のために、自分のCV (Resume)を添付するといいでしょう。

多忙な先生方にお願いするので、ポスドクがメールをしたところで連絡が返ってこない場合も大いにあります。実際に7人にEmailを送って返事を頂いたのは5人だったと覚えています。返事が中々返ってこない場合は、自分のボスにお願いして催促するのがベターだと思います。

2. 推薦状のドラフト(草案)作成

無事に推薦書を書いてくれることになれば、ドラフトの作成に取り掛かることになります。要点はたった1つで、自分(申請者)がいかにメリットのある人物であるか、について褒める文書を作ることです。正直苦手な作業でした。

推薦状の構成(A4 2-3ページ)はパラグラフごとに以下のようにするのが一般的です。

  1. 申請者がとても優れていてメリットがあることを述べる
  2. 推薦者が何者か、そして申請者との関係を述べる
  3. 具体的に申請者のどこが優れているかをエピソードを入れて述べる
  4. 総括として申請者を推薦する

また、3の具体的に申請者の事を褒める上でのポイントは

  • 具体的なエピソードを入れる:例)フェローシップやプロジェクトへの貢献
  • 具体的な数字を入れる:例)何件の論文を発表した、何件の特許に貢献した
  • 短所を上手く長所に言い換える
  • 大袈裟な表現を使う:例)outstanding, exceptional, heroic, extraordinary, groundbreaking etc…

実際に使用した推薦状を載せると長くなるので割愛しますが、もし推薦状のテンプレートが必要な方がいましたら“Contact”からご連絡ください。

Webでも推薦状のサンプルが簡単に手に入るので、以下のリンクを参考にしてください。

 

3. 推薦者のチェックとサイン

推薦状のドラフトが出来上がったら、英語が第一言語の友人もしくは同僚にお願いして、単語のスペルなどをチェックしてもらう事をお勧めします。出来れば、非研究者の友人にも見てもらって書いてある文章の意味が理解してもらえるかみてもらいましょう。なぜなら審査官も非研究者の可能性が高く、研究者でない方でも理解できるくらいの文章レベルが最適だからです。

校正が終われば、推薦状を書いてくださることを了承していただいた方々に作成したドラフトをEメールで送り、目を通してもらってサインと研究所/大学/会社のオフィシャルなフォーマット(ロゴ入り)で作成してもらい、返信してもらいます。ここでいう返信は、原本でなくサイン入りのドキュメントをスキャンしてもらったpdfファイルで全然大丈夫です。あと推薦者のCVも提出するので、最新のCVもメールに添付してもらうのもお忘れなく。

ビザ/グリーンカード申請の際の場合は、推薦状が揃ったら申請カテゴリーにマッチしたpetition letter  (グリーンカードならI-140)に添えて、USCIS (U.S. Citizenship and Immigration Services) へと郵送します。申請状況は“USCISでアカウント”を作成しておくと、テキストやEメールでのアップデートを受け取ることが出来るのでオススメです。

 

まとめ

  1. 推薦状は研究留学の受け入れ、ビザ/グリーンカードの承認、転職の成否において重要な役割を持っている
  2. 研究留学、転職時の推薦状は直接のボスから、ビザ/グリーンカードの推薦状は出来るだけその分野で著名な先生から書いてもらえるようにする
  3. 推薦状ではいかに自分がマッチしているか、メリットがある人物であるかについて褒める

研究留学、ビザ/グリーンカード、転職で次のポジションへ移る際の推薦状はとても大切です。ボスから内容の濃い推薦状を書いてもらえるように、普段から誠実にプロジェクトに取り組んで行くのが地道ですが1番の近道だと思います。

地道な1つ1つの積み重ねの結果として、運が良かったということに繋がって行くと信じています。運が良かったというのは、“転職時に運を引き寄せるために実践しておきたい2つのこと”でまとめてあるので参考にご覧ください。

 

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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