こんにちは、masayaです。
現職の製薬企業の研究職の仕事も落ち着いてきたので、この機会にアメリカに来てからのポスドク時に経験した事や、現地アメリカで製薬企業の研究職への転職活動をして行った経験から学んだことなどをまとめていこうと思いました。
『日本で学位取得→アメリカでポスドク→アメリカで現地で製薬企業の研究職へ転職』というキャリアパスの例が少なそうだったので、自分の経験をまとめることで、
- アメリカで就職に興味のある方
- 博士課程へ進学しようか悩んでいる方
- 日本か海外で進路に悩んでいる方
などの方々の参考になるんじゃないかと思いました。
まず始めに、2016年夏から2017年冬にかけての約半年のアメリカでの製薬企業の研究職への転職活動を振り返ってみて、どんな要因に助けられて転職成功へ至ったかについてまとめました。
1. 転職成功へ至った重要な5つの要因
結論から先に言うと、アメリカでの製薬研究職への転職活動が上手くいった要因は以下の5点だと考えています。
1)ビザのステータス
2)求人情報(Job Description)と自分のマッチング
3)自己分析(パッション)
4) プレゼンテーション
5)Good Luck
1-1. ビザのステータス
アメリカで働くためにはビザのステータスがとても大切です。
詳しくは、“アメリカで研究留学・転職するために知っておきたいビザの知識”でも紹介していますが、我々はあくまでも米国にとっては『外国人』なので、アメリカで働こうとするなら就労ビザもしくはグリーンカードが必要になります。
アカデミアなら最もポピュラーな就労ビザであるH1bの発行上限がないのですが、企業ではH1bの発行上限が決まっています。なので、申請した全ての人が就労ビザを取得することはできないために、アメリカでビザ取得はなかなか難しいと言われる所以です。
転職活動開始時はアカデミアの研究機関で働いていたためJ1ビザでしたが、アメリカで転職活動を優位に進めるためには『グリーンカードの取得』が最も有効であると友人からアドバイスを貰っていたので、転職活動開始と同時にグリーンカードの申請を始めました。
結果的には、グリーンカードなしで(O1ビザ: 就労ビザの一つ)現職のオファーをもらいましたが、ビザ・グリーンカードを強く意識していたことは転職活動をスムーズに進めるための大きな要因だったと思います。
実はこの何でもいいので『ビザを所持してアメリカ国内にいる』というのは、簡単そうでかなり大切であることに後々気づいたので、今強調しておきます。グリーンカードにしろ、就労ビザにしろまずはアメリカ国内にいることで海外にいるよりも簡単に申請や切り替えを始められるからです。
1-2. 求人情報(Job Description)と自分のマッチング
アメリカでの転職は日本の就職活動と違って、求人情報(Job Description)に明確に必要なスキルや要件が記述してあります。
そのおかげで、ミスマッチの求人へ無駄にアプライすることがなかったので、短期間で効率よく電話インタビューなどをこなすことができました。そのため、電話インタビューの反省をすぐに次の電話インタビューに活かすことができたので、約半年で転職活動を終えることができた要因の一つだと感じています。
日本でも就職活動は経験しましたが、当時はエントリーシートを書いても、面接へ進んでも自分のスキルなんかとのマッチングが全く見えなかったのを覚えています。
反対にアメリカでの就職活動では下の例のように明確に職務内容や応募するのに必要な条件が明記されているのが普通なので、自分の条件にマッチしたJob(求人)にのみ応募していくことになります。
職務内容の例
Ph.D. in Biological Science (protein biochemistry, biophysics, structural biology) or a related field (Chemical Engineering, Biomedical Engineering and Biological Engineering)
At least 2 years of post-graduate experience in either an academic or industrial setting is preferred
Strong knowledge on protease biochemistry
Strong track record of scientific accomplishments demonstrated through publications in highly regarded journals and/or intellectual property generation.
1-3. 自己分析(パッション)
アメリカでの転職活動を始める前に日本のアカデミアへの就職活動を行っていましたが、そこで10年後自分が何をしていたいのかについて明確な方針を出すことができていました。
その時の自己分析で見つけることが出来ていた『創薬研究へのパッション』のおかげで、日本のアカデミアへの就職→アメリカの企業への就職という大きな方向転換をスムーズに出来たと思います。
日本のアカデミアへの就職での自己分析に関しては、“卓越研究員の結果:アメリカで製薬研究職を目指したターニングポイント”を参考にして下さい。
自己分析っていつでも簡単に出来そうに思えますが、いざ実際にやるとなると案外時間がかかったり何から見つけ直したりすればいいのかわからないこともあるので、日本への就職活動の際の申請書作成は非常に有意義な自己分析の機会になりました。
自己分析で特に見定めたいことは、
『10年後どうしたいのか?』
実は、興味深いことにアメリカの製薬業界に先に入って活躍している友人からも同様の質問を受けていたので、この長期的なビジョンは大切にすべきポイントだと思います。
1-4. プレゼンテーション
どうしても海外(英語圏)で仕事をしていると、言語の面で英語がネイティブの方達ではハンデを感じてしまいます。しかし、こればっかりは埋めようにも埋められない差です。なので、少しでも会話の部分で伝えられない部分を理解しやすい『プレゼンテーション』を行うことで補おうと心がけてきました。
“英語が苦手だからこそ上達させたいプレゼンテーションの構成とポイント”でポスドク時代のプレゼン上手のボスからの指導をまとめているように、プレゼンテーションのレベルアップにはずっと意識を置いて取り組んできました。ここで意識して取り組んできたプレゼンテーションの甲斐あって、採用プロセスの最後のオンサイトインタビューの研究プレゼンではとても良い印象を与えることができました。
また、伝わりやすいプレゼンテーションについて理解できていくと、フェローシップの申請書などプレゼンテーション以外の部分でも、
『どうしたら相手に理解してもらいやすいか?』
について自然と考えられるようになっていくので、是非海外で仕事をしようと思っている方にはプレゼンテーションに力を入れて欲しいと思います。
1-5. Good Luck
地味にこの『Good Luck』が転職活動の成功の最大の要因だったと思います。
私の場合、たまたま運よく就活を始めた時期に、Pfizer@Grotonから自分にマッチした求人情報(Job)が大量に掲載されたのが大きかったです。入社後は、今所属する部署からは2018年夏までまとまったJobは出ていないので、2017年の11月という特定の時期に『運良く』転職活動をしていたのがハマったと思います。
もちろん、ただただ運に頼れと言うわけではなく、そのタイミングに至るまでに、
- グリーンカード取得の開始
- 既に製薬企業で働いている友人へ助言を求めた
- Cover Letter・Resumeの推敲
- 電話インタビューの失敗・反省
- オンサイトインタビューへの準備
と、できる限りの準備(Preparations)を進めていたことが、良い結果に繋がったと信じています。
また見えない部分の運の要素として、今の職場に在籍期間は被ってるいませんがポスドク時代の同じラボの出身者がいて、その方のプッシュもあったのは大きなGood Luckだったと感じています。この目に見えないネットワークについて、“コネ就職するために活用すべきネットワークの知識と作り方”を参考にしてくださると幸いです。
まとめ
- 転職を上手く進めることができた4つの要因は、『ビザのステータス』、『求人情報(Job Description)と自分のマッチング』、『自己分析(パッション)』、『プレゼンテーション』、『Good Luck』の5つ
- 運が巡ってきた時のために良い準備をしておくことが大切
タイトルの『Luck Is What Happens When Preparation Meets Oppotunity』は好きな言葉の一つで、準備無くしては運は巡ってこないと思います。
皆さんも後悔のないよう良い準備ができることを応援しています。
次回の“アメリカ製薬研究職への転職活動 No.1:下準備中に行った3つの事”では、実際に求人(Job)へ応募していく前に行った3つの下準備について紹介していきす。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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