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ポスドク・大学院での研究室変更の4つのメリットと2つのデメリット

こんにちは、masayaです。

大学院や博士課程修了後のポスドクで『研究室を変更をするのか、しないのか?』はちょっとした悩みだと思います。

私自身過去に①学部4年から修士課程、②博士課程からポスドクで2回研究室を変更した経験があります。

研究室の変更は個人的には良いことだと思いますが、それなりのデメリットもあるのでその辺りも考えて、『研究室変更のメリット・デメリット』についてまとめます。

1. 研究室変更の3つのメリット

1-1. 異なる研究マネージメントが学べる

研究室を変更するということは、研究室主催者 (Principle Investigator: PI)や所属教員が全く別の人物になります。

研究マネージメントも100人いれば100通りの異なるので、異なる研究マネージメントを学ぶ良い機会になります。

そのなかで効率的だと感じたマネージメントや自分が取り入れていきたいスタイルを見出していくのが、博士課程・ポスドクでのトレーニング期間を充実したものにしていくはずです。

私自身の海外ポスドク時代のボスから学んだことは非常にたくさんありますが、効率の重視プレゼンテーションのストーリーの重要視などが特に良かった点として挙げられます。

特に日本の研究室からアメリカの研究室へ移ったので、効率重視やスピードの速さに最初の頃は適応するのに時間がかかりました。しかし、博士課程時代の日本のボスのマネージメントとこうも違うのかというくらいポスドク時代のボスは異なるマネージメントスタイルをとっていたので、こういうのもあるのかととても勉強になりました。

ポスドク時代に学んだことについては、

などを合わせて読んでみて下さい。

1-2. 異なるスキルが身につく

研究室を変更するということは、大なり小なり研究分野を変えるということになってくると思います。

研究分野を変えるということは、異なる2つの分野のプロフェッショナルなスキルを身に付けることができる良い機会です。もちろん個人の努力次第ですが。

ポスドク時のラボには、実際に1つ目の研究室でCell biologyを中心に身につけて研究室を変更して2つ目のStructural biologyの研究室でポスドクをした方がいましたが、アドバイスや考え方にとても幅がありました。

また同じようなスキルを用いる研究室の変更でも、研究室ごとにアプローチや考え方が異なることもあるので既に理解していたと思っていた実験手法やスキルの新たな一面を見つけることが出来たりと予想外の収穫もあります。

研究室を変更することで、例えば研究対象の生命現象の変更も伴うことも多いので、biology全般への理解や興味の幅も広がっていくこともメリットだと感じます。

自身の例では、博士課程時のオートファジーという細胞内のタンパク質分解システムの研究から、ポスドク時のユビキチン-プロテアソーム系の別のタンパク質分解システムの研究へシフトしました。タンパク質分解という括りでは同じですが実際のメカニズムは大きく異なるので、この2つの生命現象についてはより深く考えることができるようになったんじゃないかと思っています。

1-3. 多様なネットワークが作れる

研究室を変更することで、研究室の壁、研究分野の壁、出身国の壁を超えた『多様でプロフェッショナルなネットワーク(人の繋がり)』を作ることができます。

プロフェッショナルなネットワークはアカデミア・企業を問わず生き残っていくためにとても大切で、強いネットワークがあれば、

など色々なメリットがあります。

詳しくはコネ就職するために活用すべきネットワークの知識と作り方“転職時に運を引き寄せるために実践しておきたい2つのこと”紹介しているので、合わせて読んでみてください。

1-4. ターニングポイントになる可能性がある

研究室を変更することが、後々振り返ると大きなターニングポイントに可能性は十分にあります。

思い切った分野の変更を伴う研究室の変更で、新しいサイエンスに触れて自分自身の思わぬ興味を発見することもあります。

自身の学部4年から修士課程の研究室変更が正にこのパターンでした。

学部4年の時は薬物送達システムの開発に関わる臨床応用寄りな研究をしていましたが、修士過程から構造生物学の手法を使った色々な生命現象の分子メカニズムを明らかにすることに主眼を置いた基礎研究をしていました。

実際に基礎研究を行なってみて、生命現象の『なぜ?』という多くの疑問に応えることができる基礎研究の面白さに惹かれました。

実を言うと修士課程の大学院試験の結果、学部4年次に在籍していた応用研究の研究室への第1希望が通らずに、第2希望だった博士課程までお世話になった基礎研究の研究室へ行くことになりました。

また研究室変更に伴う新しい指導者との出会いも大きなターニングポイントになり得ます。

博士課程やポスドク中のトレーニング期間中って自分で思っている以上に指導者の影響は受けているので、

などが大きく変わる可能性は十分あり、重要なターニングポイントになるかもしれません。

2. 研究室変更の2つのチャレンジ

2-1. 成果が出るまでに時間を要する

研究室を変更するということは、共同研究先へ移る場合を除いて、多くの場合はそれまでの実験データや特定分野の知識などの下積みが一旦リセットされることになるはずです。

移動後はまたほぼゼロのスタート地点から実験データを積み重ねていったり、新しい分野の論文を読んで新しい背景情報や知識などを頭に入れていかなけばならないので、やはり論文を出すまでにはある程度の『時間』が必要になると考えられます。

ただあまり悲観的になる必要はなく、成果が出るまでの期間は重要な下積み期間であり、数年後にちゃんと成果をまとめて出せれば結果がない初期の時間も無駄にはなりません。

あくまでも個人の経験ですが、修士課程で研究室を移ってから博士2年までの4年間はまともな論文は出せませんでしたが、博士課程3年目でしっかりと成果がまとめて出すことができました。

同じように海外ポスドクで移った研究室でも最初の3年間は何も成果はありませんでしたが、最終的には4年目に複数の論文を出すことができました。

成果が出るまでのイメージは下の図のように色々なタイプがあると思います。シンプルに下図Aのようなイメージで労力と成果が比例していくことはないですし、下図Bのように少し停滞しては伸びていくっていう時はあまりストレスもないかと思います。

ただ現実としてはそんなに上手く行かないことも多く、下図Cのように長い停滞期が続いて終盤にグッとこれまでにかけていた労力が爆発して成果が出てくるっていうことも多いかと思います。長い停滞期の間はストレスもかかりますが成功のための準備だと思うので、あまりストレスを感じないことも大事です。もちろん成果がない状態は苦しいですが、後で上手くいくことを考えれば踏ん張ることもできると思います。

2-2. 新しい環境へ適応するまでに時間がかかる

研究室を変わることで人間関係も真新しいものになるので、新しい研究室のカルチャーに慣れ親しむまでにも時間はかかると思います。

特に日本から海外へ移る場合には、言語・文化・環境が大きく変わってしまうので、人によってはこれらの新しい環境へ適応するのにかなり時間を要してしまうこともあります。

私自身も渡米してからの半年間は言語・環境への適応にかなり苦労したので、大変さはよく分かっているつもりです。

ただ新しい言語や環境への適応は人によっては時間がかかりますが、きっと乗り越えられると思います。困難を乗り越えた経験は確実に自分の中で大きな財産になって、昔なら大変に感じていただろうことも大変に感じないくらいメンタルが強くなると思います。

 

3. まとめ

個人的には研究室の変更は異なる分野、手技、研究マネージメントなどが学べるので自身の見識を広めるのでメリットがデメリットを上回ると感じます。特に博士課程修了後でポスドクをする際は研究室を変更して損はないと思います。

実際に研究室を探す際は、“研究留学で後で後悔しないための研究室選びのポイント”を参考にしてみてください。

 

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

参考になった、面白かったと思って頂けたら是非シェアして下さい 🙂

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